今日はアイツが元気がない。たった1日そんな日があるだけで私は沈んでしまう。それは自分の精神衛生上悪い事だと知っていても、親ってモノは心配性なのだ。アイツの足音、気配を感じながら、明日はちょっと元気になると信じよう。
こういう日には決してポジティヴな事な考えられない私だけれど、沈滞ムードの中で一筆。(長くなりそうな予感…)
確か3月末ごろにエフゲニー・プルシェンコのコーチのミーシンさんが、エフゲニーは来シーズン競技に復活するって話した、っていう報道があったものだから、てっきりシュアな話と思っていた。率直に喜んでいた。お気に入りを通り越して尊敬しているので。だから、今頃になって(私が知ったのが今頃って言う意味で、エフゲニーの記者会見は4月10日でした!)本人が来期復帰します、って言ったのはちょっと驚いた。
3月の時点でのミーシンさんの話は一体なんだったんだろう。先走ったのかな?それとも復帰するかもしれない、って言っただけなのかな?
時間差の事ばかりでなく、ファンの一人として素直にお帰り!と言えない気がしてきた。
というのは、エフゲニーの発言を読んでみると、ミーシンコーチの発言の時と違って、かなり悲壮な決意に思えるからだ。
"After seeing the results of Russian skaters in the world championships
in Tokyo, I have decided to go back to competition," said Plushenko,
who is in Richmond, Virginia, south of Washington, to begin the
Champions on Ice tour. "I want to keep Russian figure skating at a
competitive level. I want to bridge the gap so our young skaters have
time to train and be competitive, which should be in a few years."
つまり、『東京の世界選手権でのロシア選手の結果を見て競技に復帰しようと決心した』『ロシアのフィギュアスケートのレベルを維持し、若い選手が育って世界レベルになるその間のギャップを埋めたい』。その上で07-08シーズンのグランプリシリーズ、ユーロ、ワールドそれから10年のバンクーバーオリンピックへの意欲も示したものだった。
…基本的には、帰ってきてくれてやっぱり嬉しい。彼の技術、芸術性、そして何よりも観客を虜にするオーラがもう一度見られるというのは喜ばしい限りだ。ショーで見せるパフォーマンスも素晴らしいには違いないが、競技での彼には及びもつかない。高い技術もさることながら、あのエネルギーを何と表現したらいいのだろうか。彼自身が過去に何度も言っている、『競技とエキシビションは全く違う、競技にはエキシビションにはないアドレナリンの高揚がある。』と。
だから、一度は競技生活から引退した彼が、少し年下の選手達の繰り広げる熱いバトルを見て、安泰だけれどマンネリ化した(ごめん)アイスショー生活では満足できなくなったというなら納得できる。やっぱりね、現役に戻りたいでしょ、思ったとおりだわ、コンペティションに帰っておいで!って心から喜べるのだけれど。
かつて男子のみならず女子もペアもアイスダンスも、全てにおいて他国を圧倒していたフィギュア大国ロシアの低迷の危機を救わなければならない、と思ったんだろうか。愛国精神の強い彼の事だから自発的な決断だと思うが、周囲のプレッシャーはいかほどにかあった事だろう。
一時代を築いたヤグディンとプルシェンコが去ってみれば若手が育っていないロシアの現状―敵はヨーロッパのみならずアメリカにも、と思っていたら今年は日本にも強敵出現!
そんな中でお国を救うために戻る決意をしたプルシェンコ。スルツカヤもそういう事情の中で現役復帰するのだろうか。何だか切なくなってきた。
事実トリノオリンピックまでの勢力ならば、プルシェンコの独壇場だったけれど、今の勢力は少しばかり変わってきている。
彼のお得意は試合の出だしにいきなり4-3-2(3)回転、続いて3Aとそのコンビネーションと、序盤ですでに勝負を決めるのが定番だった。4回転からのコンビネーションは当然難しいから、誰もがやるわけではない。旧システムだとプログラムの冒頭にこれを決められると試合は半ば決まった感があったものだ。だが、今のジャッジシステムだと、以前のような難しい技に取り組む選手が高得点を取るとはならないのが妙だ。むしろ点取り合戦になってしまっていて、4回転からのコンビネーションなしでも(単独の4回転さえなくても)点は稼げてしまう。プログラムの後半に(1,1倍になる事を利用して)3回転からのコンビレーションでも高得点が出ちゃうんだから。
新ジャッジシステムになって、可能な限り主観性が排除できるとか(それでも主観だけれどね)、SPの順位に関係なく逆転が出来るとか、良い面は確かにあるのだろうが、何だか今年の大きな大会見てるとみんな同じような演技になってきている気がする。というか個性もなく、点の取れる技を積み重ねてこつこつ点数を稼いだ人選手が表彰台に上がっているみたいだ。へぇ、こんな技ばかりで高得点が出るの?と思う事も多いし。個性的な演技で観客の心を捉えるとか、細やかな表情で曲のイメージを豊かに表現するとか、特に必要ないように感じたりする。そういう選手は、見ていて楽しいけれど相変わらず得点は低くてかわいそうかな、という気がする。(そんな中でジュベール選手は王道を行く、彼の最大の武器だけれど、4回転を貫いてくれて、個人的には嬉しかったな。)
まあ、そういう一般論はおいといて、問題のエフゲニー―
真のスケート技術と芸術性を武器に勝負してきたクラシックなスタイルの彼(あるいはコーチ)はこういう事をもっと研究しないと、技術的に劣っている選手(のコーチ)に足をすくわれちゃうかも。
(いやいや、ちゃんと研究してますって。素人の私が口を出してごめんなさい。)
勝つ事ばかりが目的ではないけれど、少なくとも彼に課せられた使命の一つは、国際大会で勝つ、ということでしょう。(クラシックな、というのは、勝負の仕方がそうだというのであって、彼のスケートがそうなのではないです、彼のスケートはクラシックであって、独創的だと思います。)
それから、ここ何年か続けてきたマートン氏の音楽と、同じコリオグラファーから、ひょっとして新しいものへと挑戦する時期なんじゃないかと。私は個人的にはマートンさん大好きだし、『トスカ』は言うまでもなく、『ニジンスキー』は芸術だと思う。出来る事ならビールマン無しでいいから『ニジンスキー』をもう一度、と密かに願う私だ。それでも、それだからこそ、新しい音楽、新しい振り付けにも挑戦して欲しいなあ。頂点に上ったがゆえに、新しいプルシェンコを探して欲しい。
もちろんそれもこれも全て、彼が身体的にOK、っていう前提の上。怪我はするわ、手術はするわ、怪我はするわ…満身創痍とは彼の事じゃないの。(スポーツ選手でどこか痛くない人なんかきっといないのでしょうがね)
絶頂期があまりにも輝かしいだけに、痛々しい彼の姿を見たくない…なんてこれは今から負け犬根性。でも、たとえ失敗しても私は信じている、彼の右に出るスケーターはいない。少なくともあと20年ぐらいは。
なんてわけで、気分が乗らない割りには乗って書いてしまった。疲れたから今夜はもうおしまい。
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