英語の本を読む

The Pillars of Creation / The Sword of Truth 7 / Terry Goodkind著

10巻シリーズの7冊目ならもうここらへんでドロップアウトすることもないかな、と思うよね。ところが真剣にもう止めようかな、と思ってしまったこの巻である。

つまらなかったからではない。あまりにも構成が冒険的というか---読者を信頼しているんだろうし、自分の構築した世界に自信があってのことなんだろうけれど、全725頁、61章からなるこのこの巻の649頁目第54章になって初めて主人公が登場するっていうのは、いったいどういうことなんだ?この第7巻は、Sword of Truthの単なるサイドストーリーに過ぎないのか?主人公のRichardだけが登場しないだけではない、彼以外のメインキャラクター(Kahlan, Zed, Caraなどなど)も誰一人登場しない。それどころか、直接にRichardやメインキャラクターたちを知る人さえ誰も登場しない。ストーリーとはものすごく遠いところで起こっているわき道のストーリーを語っているのが、この巻なのだ。

もちろんその辺境のような事件が世界を大きく動かすRichardへとつながってくるのは間違いないことなのだが、それが本の最後の最後になって、読者の期待通りにピースがはまるのだけれど、そのじれったさといったら!

もつれてしまった糸を根気よく解いていけば最後の最後にきれいに解けるのが分かっていても、いらいらして途中で切り取ってしまいたくなる、あの感じ。

ではRichardが登場するまでの648頁は一体なんだったかと言うと、そのほとんどはJennsenに費やされている。Richardの(半)妹のJennsen。それから(半)弟のOba。このJennsenが重要な鍵を握る人物となることは容易に想像が出来て、Obaは最後に消えて行くんだろうということはもちろんわかっているんだけれど、何もこんなに長々と語らなくても…Jennsenは魅力的な女性かもしれないけれど、いったいどこまで馬鹿なんだよ、もういい加減に目を覚ませよ!と何度いらいらしたことか。読者をイラつかせるのも作者の意図なのかもしれないけれどね…

救いはZedとAdieがちょっとだけ大(?)暴れしてくれるところと、最後のRichard/Kahlan/Caraの三人の登場シーンぐらい。

7冊目まで読んだら、普通止めるわけにいかないもんね…(まあ、止めた本もあるけど。)この巻は重要な再度ストーリーと納得して次に進むことにしよう…Jennsenが次巻ではもう少し賢くなってくれることを期待しつつ…

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Faith of the Fallen / Sword of the Truth 6 / Terry Goodkind著

6巻になってようやく作者のメッセージがクリアに伝わる。Richardという孤高のリーダーを通じて、自由を求める闘いの普遍のメッセージがストーリーに込められているんだと、ようやく分かってくる。

主人公のRichardがWar Wizardとして成長するまでに時間がかかるせいで、彼が真理に到達するまで読者が待たなければならないからなんだけど。それがクリアになるのが、この巻だ。

とはいっても、少し短絡的かな?と思わせるところはある。Emperor Jagang率いる巨大帝国はスターリン時代の共産主義ソ連で、RichardとKahlanがまとめ上げてきたMidlandsは西側同盟国―自由と民主主義の象徴だよ、って言う風に露骨に見え過ぎちゃうっていうのかな。全体主義と自由主義を真っ向から対立させるんだから、まあある程度の単純化は必要かもしれないよね。ファンタジーなんだしね。

そういうことはさて置いても、私はこの6巻が一番読み応えがあったなあ。Richardがなぜ特別な存在なのかが最もよく描かれていると思う。(ここまでの巻でである。)魔法によってではなく、道理を働かせることによって、真理に近づいていく。うん、この巻がやっぱり一番良かった!

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The Appeal / John Grisham著

またしてもGrishamらしい意表を突いたテーマで、展開の速さ、綿密に組まれたプロット。読み始めたらもうとりこになってしまう。後半は一気呵成である。やっぱりGrishamってうまいなあ。

そうか、(州)最高裁判所の判事を選挙で選ぶというのはこういうことなんだとようやく納得する。もちろん著者があとがきで念を押しているようにこれは全くのフィクションだけれど、こういうものなんだ、と納得してしまう。投票が作意と資金を持った一部の人々(階級)によって買われてしまう、というのは民主主義国家にあっては許しがたい犯罪だけれど、現代では銃や金(アメとムチ)を使わなくても合法的な世論操作を使えば何のことはない。

 

この世論操作もGrishamは上手だ。彼は実際にどこかの選挙参謀を綿密に取材したんじゃないかしら?操作されている一般の人々は自分たちが踊らされているとは知る由もないので、現実にそうされていたとしても不思議ではない。

 

ふーん、アメリカの裁判主義ってこういうことに行き着くのね、なんて他人事だと思っている場合じゃない。私は今まで最高裁判所の裁判官の信任投票にろくすっぽ関心を持ったことがない。選挙公報のどっか目立たないやつに裁判官の皆さんの略歴みたいなのが載っているよね。あれを読んでも―読んだことはあるんだ―出身大学ぐらいしか見ないもんね。法律のことはよく分かっている方々がうまくやってください、ぐらいにしか大抵の日本人は思ってなかったよね。ようやく最近でしょ、裁判員制度が始まって「それってなによ!?」式に国民が声を上げ始めたのは。

 

それはそれとして、この本は面白い。クライマックスでこういう事件が起こるんだろうな、という予感はGrishamファンならきっと付いているだろう。それでも面白い。むしろエンディングは意外な感じ。勧善懲悪ものではないにしても、ビッグ・カンパニーの大富豪を少し痛い目にあわせるのかと思っていたから。

 

そうしなかったあたり、著者の「完全なフィクションだけれど、現実もまあこんなもんでしょ」という声が聞こえる気がする。できることなら、この次の作品では悪役をぎゃふんと言わせてほしい…

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Book of the Dead / Patricia Cornwell著

Scarpettaが帰ってきました!

そんな風に大声で言いたくなるほどこれは良いです。どうもこの数作Cornwellらしくない、Scarpettaらしくない作品が続いていた気がするので。


サスペンスも、ストーリーも『らしく』て、悪役もそろって、文句無し。登場人物たちはまた少しそれぞれの人間関係を発展(後退?)させて―このへん微妙なところ。だって、あまりにも発展させすぎたらこのシリーズ続かなくなっちゃうでしょ。かといって何の変化もなければ事件の謎解きだけになっちゃうし。


彼らが実在の人物のような気がしてしまうのは、現実にいかにもありそうな悩みを抱えていて、それが解決しそうでしないんだなあ。いかにも現実的でしょ。生身の人間関係、家族関係、ドラマだったらこんな風に大団円に終わるんだろうけど、現実はそうはいかないよってことが。彼らの人生もうまくいかない。みんな有能で、美しくて(Marino以外はね)正しいことをしようとしていて。


Scarpettaその人も、Bentonも、Lucyも、Marinoに至っては致命的―みんなそれぞれに問題を抱えている。「悪」という敵と向かい合おうとすると自らをも罰してしまうことになるんだけど。まあ、そういうものでしょう。人生は。仕事で大きなヤマを乗り越えたとしても自分の人生がそれでバラ色になるわけじゃない、あちこち傷だらけでボロボロになった自分を引きずって歩いて行かなくちゃいけない。好きな人がいて相思相愛でもそれで幸せになったわけじゃない、人の心に入り込もうとすると自分とも向き合わざるを得ない。


そんなわけで、この本でも事件は解決するけれど、Scarpettaをはじめとして登場人物たちの人生の問題はきれいに解決とは行かない。希望を持ちながら…くらいかな。

しばらくCornwellから遠ざかっていたけど、次の作品を読むのがこれで楽しみになった。つぎはいよいよScarpettaを読まなくちゃ。

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The Front / Patricia Cornwell著

Win Garanoのシリーズだから、期待してなかった。Winの最初の作品At Riskでちょっとがっかりしていたから、2作目もとりあえず読んでおこうかな、ぐらいの気持ちで。Cornwellのファンとしてはそのくらいの律儀さは必要かと思って。

 

At Riskよりはずっと好感が持てた、ような気がする。(ずいぶん遠慮しているなあ)初めは見かけばかり完璧で何だか薄っぺらいやつだなあ、これなら、Andy Brazilの方がずっといいじゃないか、新しい主人公を作るなら、もうちょっと面白みがある奴にしてよ、と思ってたんだけど。良い感じになってきましたよ。Stumpが良いね。Lamontなんか、読んでる間は憎らしくて事故に遭って死ねばいいのに、と思ってるんだけど、それが著者のうまさ。Cornwellさんは嫌な女を描くのがうまい。

 

Scarpettaのような重さのない、軽めのシリーズにするつもりなのかなあ。彼女は警察官が好きなんだろうなあ。官僚主義やエリートと関係のない現場で毎日市民と接している額に汗する警官。スーパーヒーローじゃない、生身の人間。そういう物語を書きたいんだろうなあ。Winの成長が楽しみ。

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A Game of Thrones / Geroge R. R. Martin著

一度読み始めて600ページまで行ったんだけど、あと200ページ読み続けるのがおっくうになって、そしてそのあと続くsequenceに対する興味もすれてしまって、とうとう投げ出してしまった。面白くなかったわけじゃないんだけど。


登場人物は興味深かったし、ストーリーもそれなりに。ただ、所詮『国取物語』なんだなあ。この巻を読み終えても、後に続くシリーズ物を思うと何だかおっくうになってしまった。また暇になったらいつか。ってことはきっとこのままになる…予感。

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At Risk / Patricia Cornwell著

Cornwellさんは私にとっては特別な人で、もちろん一方的にしか存じ上げなくて、1ファンに過ぎないと言ってしまえばそれだけなんだけど、私が英語の本を読み始めたきっかけを作ってくれたのがこの人の作品、もっと言えば主人公Kay Scarpettaなのだ。

90年代半ば、アメリカで子育てしていて、日常的生活で苦労するほどの英語力しかなくて、子供のほうがどんどんと英語を覚えていって、Dr.Seussとかの絵本を買ってやったは良いけれど一体どこが面白いのかちんぷんかんぷんだった。そういう私が無謀にもPatricia Cornwellを読みたいなんて決意してしまったのは、邦訳版が出るまで待ちきれない、それほどにKay Scarpettaの物語に夢中になったから。

英語で最初に読んだ小説がCornwellなんてどれほどそのあと大変だったかはまた別の機会においとくとして、たとえ1冊の本に1ヵ月半かけたとしてもそれだけの値打ちがあったのだった。

以来私はCornwellを読み続け、新作が出るとすぐにハードカバーで求め、彼女の出版されている本は1冊を除いて全て持っている。中には複数部持っているものだってある。

それでも最近ちょっと違うかな、って言う気がしてた。Scarpettaの魅力がちょっと薄れてきたような気がしていた。そして、今回発売はだいぶ前になるけれど、At Riskはあんまり評判が良くなくて…

いつもなら迷わずハードカバーを求めるんだけど、今回は見送った。ペーパーバックを待って買うことにしてしまって、それも、待ちきれなくて表紙を繰るのではなかった。期待はずれになったらどうしよう…と、どうして一読者の私が心配するのか分からないけれど、長年連れ添ったパートナーのような気がしている私は、心配する権利があるでしょ?

んー、読み終えてやっぱり心中複雑。彼女の新しい世界を開拓している、という感じよりは、Scarpettaを書いていたときのような輝きが感じられない気がする。Hornet's NestでAndy Brazilが出てきたときには新しい境地を開いているんだなあ、なんて期待したんだけど、このAt RIskでWinに大してそういう風に感じられない。ここかしこで、Cornwell風の各ピースがピタッピタッとはまっていく小気味のよさは感じることはある。でも何だか違うぞ、こんなはずじゃない。登場人物に魅力がない…きがする。ScarpettaやMarinoに対する思い入れが強すぎるのかなあ。何だか、寂しい。

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Forest Mage (Book Two of the Soldier Son Trilogy) / Robin Hob著

主人公にここまで太られてしまうと…っていう感は確かにある。ダイエットの本ではないし、一応ファンタジーなわけで、それもヒーローなわけだし。太っている事、さらにそれよりも太る事がもっと大きなマジックを意味するのでは、何だかイメージとして良くない。

にもかかわらず、やっぱりNevareをヒーローとして受け止めざるを得ない…んだなあ。読者としては。

一体いつ彼自身の力に気付いて、本当の自分の行き方に目覚めるのかをじりじりしながら待って読み続けるんだけれど、クライマックスまでちょっと長いんじゃないの?というのが正直な感想。

「Farseer Torilogy」とか「Tawny Man Torilogy」とかやっぱり長かったけれど、長くない。登場人物たちをもっと知りたい。書かれていない会話を聞きたい。城の中を、町を主人公達ともっと歩きたいという気持ちが起こって、あんなに長くても足りないくらい。そのHobbさんが書いたものならと、やっぱり同等の感動を期待してしまうし。

主人公がマジックによって太り続ける、というのがやっぱりねえ…そこがこの物語の中心部分だから、と言われそうだけれど。

面白いか、そうでないかといえば、面白い。星4つ(5つ中)つけていいぐらい面白い。
だから最終話に期待しよう。

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Shaman's Crossing( Book One of The Soldier Son Trilogy) /Robin Hobb著

一つの作品がすっごく気に入ってしまうと同じ作家のほかの作品を読むのに躊躇する事がある。

有能な作家といえど人間だから、必ずしもどの作品も素晴らしくいいとは限らないし、私が気に入らなかったとしてもそれは嗜好の問題かもしれない。分かってはいても、期待してしまうものだ。それでがっかりしたりする事は実際多いよね。

去年からはまっているThe Farseer Trilogy, The Liveship Traders, The Tawny Man,の各三部作計9冊を読んで以来 Robin Hobbが大好きになって、このThe Soldier Sonのシリーズに手を出すかどうかしばらく悩んでいた。Amazonの書評を見るとまあまあ評判はいいけれど、前者の9冊と比べるとちょっと見劣りしたから。近年読んだファンタジー作家の中で、一番私と感性が近い気がしたのがHobbなので、がっかりするのはいやだったから。

前置きが長いなあ。で、思い切って手を出して、結果的に大正解、と思っている。少なくともこのTrilogyの第1作を読み終えた段階では。

序盤は正直に言って乗れなかった。ほんとのところ中ほどまでは我慢して読んでいた。600ページ近くあるペーパーバックの340ページ過ぎまで我慢して読んでいた、なんていうと私もずいぶん我慢強いように聞こえるなあ。普通ならとっくに『あ、外れでした。』って諦めてる。

物語の冒頭で起る事件が必ずや主人公Nevareのその後の人生に大きく影響を与えるはず、彼はきっと人間的に大きく成長するはず、という期待があったので(それは著者の他作品のキャラクター達を読んだ上での確信から来ているのだけれど)、投げ出さなかったのだ。

それにしてもNevareは主人公なんだけどイマイチ感情移入できない。固定観念が強くて保守的で、あまりにも優等生過ぎると言うのか主体性に欠けていると言うのか、良い人なんだろうけれど面白みがない。いとこのEpinyやクラスメートのSpinkがいなければ、作品そのものがほんとにつまらなくなってしまうところだ。(主人公に対してこんな風にイライラしたりするのはそれだけでHobbさんの術中にはまっているんだろうね。)

一体Nevareはどんな風に成長するんだろう。彼の周りの偏見に満ちた人々はいつか変わる日が来るんだろうかといらだちながら、いつの間にか一冊読み終えてしまって、第2作をすでに手にしてしまっているんだから、やっぱり著者の思う壺かな。

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The Thirteenth Tale/ Diane Setterfield著

『英語の本を読む』というカテゴリーで、読んだ本の感想を書き留めていくはずが、このところ新しい本がちっとも増えていない事に気づいた。それは私が本を読んでいなかったって事ではない。

私はどんなに疲れている日でも、どんなに遅くなっても、たとえ数行であっても、本を開かずに眠りに付く事はできない。息子に言わせると、私にとって本を読むという行為は(「正確には本を手に取る、という行為なんだけどね、と彼は言う。)睡眠導入行為なんだそうだ。だから、本は何でも良い訳で、それにどのページを開いてても、どーせ寝るんやろ、関係ないやん。だそうで。

それほどでもないんだよ。しっかり読んでるんだからね。

ただ好きな本っていうのはあるわけで、このところは愛読書を抱えていることが多かったから、新しい本が少なかっただけの事。私は好きな本は何度も何度も読み返すし、味わって読みたいからね。

で、表題のこの本はそういう中にあって、最近読み終えた小説のひとつ。

始まりがスローだったのと、内省的な感じのナレーションだったせいで、ちょっと失敗だったかな?と思いながら読み進めたのだけれど、中盤以降はどんどん引き込まれていった。こういう作家をストーリーテラーって言うんだろうな。面白いです。筋が、というよりは、話の運びが上手いです。

それに私は今まで双子ってあまり縁がなかったので、改めて興味深く思った。子供の頃、双子だと楽しいかな?入れ替わっても分からなかったら、ちょっと便利かな?なんて事ぐらいしか思ったことなかったから。

もう一度読み返すかどうかは分からないけど、(もうすでに褒めていない気がする、ごめんなさい)彼女のほかの作品があれば読んでみたい。
そうだ、書いておかなくては。

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