Book of the Dead / Patricia Cornwell著
Scarpettaが帰ってきました!
そんな風に大声で言いたくなるほどこれは良いです。どうもこの数作Cornwellらしくない、Scarpettaらしくない作品が続いていた気がするので。
サスペンスも、ストーリーも『らしく』て、悪役もそろって、文句無し。登場人物たちはまた少しそれぞれの人間関係を発展(後退?)させて―このへん微妙なところ。だって、あまりにも発展させすぎたらこのシリーズ続かなくなっちゃうでしょ。かといって何の変化もなければ事件の謎解きだけになっちゃうし。
彼らが実在の人物のような気がしてしまうのは、現実にいかにもありそうな悩みを抱えていて、それが解決しそうでしないんだなあ。いかにも現実的でしょ。生身の人間関係、家族関係、ドラマだったらこんな風に大団円に終わるんだろうけど、現実はそうはいかないよってことが。彼らの人生もうまくいかない。みんな有能で、美しくて(Marino以外はね)正しいことをしようとしていて。
Scarpettaその人も、Bentonも、Lucyも、Marinoに至っては致命的―みんなそれぞれに問題を抱えている。「悪」という敵と向かい合おうとすると自らをも罰してしまうことになるんだけど。まあ、そういうものでしょう。人生は。仕事で大きなヤマを乗り越えたとしても自分の人生がそれでバラ色になるわけじゃない、あちこち傷だらけでボロボロになった自分を引きずって歩いて行かなくちゃいけない。好きな人がいて相思相愛でもそれで幸せになったわけじゃない、人の心に入り込もうとすると自分とも向き合わざるを得ない。
そんなわけで、この本でも事件は解決するけれど、Scarpettaをはじめとして登場人物たちの人生の問題はきれいに解決とは行かない。希望を持ちながら…くらいかな。
しばらくCornwellから遠ざかっていたけど、次の作品を読むのがこれで楽しみになった。つぎはいよいよScarpettaを読まなくちゃ。
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